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Pentium 10GHz / Athlon 10GHz その1 (2010/05/19) [雑記]

さてさて、いつかCPU 10GHz時代は来るのでしょうか?
はい、きっとないでしょう。技術的な天変地異でも起こらない限り。不可能ではないかもしれませんが、現時点では技術的に無駄な努力だと思います。

こういうお話をする場合、電気回路というものを分かっていないといけません。まぁそういう私自身、情報系出身の人間なので偉そうに語れる身分ではないのですけどね。一般向けのお話ということで、電気系理論の細かいところは見逃して下さい。

CPUはクロックと呼ばれる電気信号に同期して動いています。Core 2 Duo 2GHzの“2GHz”といった数字はまさにクロックのことで、基本的にはこの数字が大きければ大きいほど性能が良いCPUということになります。(厳密に言うとちょっと違いますが)

いきなりですが、小学生の頃の体力診断テストで“踏み台昇降運動”ってやりませんでした? ピッピッという音に合わせて変な台に上ったり降りたりを繰り返し、3分後に心拍数を測って記録するというアレです。
実はCPUの動きって、“踏み台昇降運動”をイメージするとかなりぴったり合います。ピッピッと鳴る音が正にクロックですね。音の大きさはCPU回路の電圧に相当します。踏み台は横に長く続いており、この横への長さがCPU回路の規模と考えて下さい。また、台を上下する人には、台の上にあがった時に算数の足し算をしてもらうことにします。この足し算が、CPU回路の処理(計算)にあたります。はい、イメージできましたか?

当然、高性能なCPUほど回路の規模が大きくなります。体力診断テストの際の踏み台の長さは、せいぜい10メートルぐらいだったでしょうが、パソコンのCPUだと横幅が10キロメートルぐらいあるようなイメージでいて下さい。
当然、音を大きくしないと聞こえないですし、端まで音が伝わりきるのに30秒ぐらい掛かることを考えると、音の間隔もかなり空けないといけません。また、昔は技術的に高さの低い台が作れなかったので、ハシゴで登らないといけないような高さの台だったと想像して下さい。そう、CPUって大変なんです。

人間は、CPUの高速化のためにかなり努力をしました。端までより早く音が伝わるように、人と人の間隔を詰めた結果、10キロメートルの横幅が7キロメートルへ、そして5キロメートルになりました。これは製造プロセスの微細化にあたります。最近だと60nmとか、45nmとか言われているものです。
また、高性能なスピーカーを作成し、音のボリュームを下げることにも成功しました。音のボリュームを下げられたので、消費電力が減ってスピーカーからの発熱も減りました。これはCPU動作電圧を低下させたことにあたります。
そのほか、台の高さを下げたり、計算の速い人間を並べることにより、計算効率を上昇させました。これがアーキテクチャの変更にあたります。同じクロックでも、より良いアーキテクチャを採用することにより、より高性能を得られることがあります。(だから厳密には、同じアーキテクチャでないとクロックの大小での性能比較ができません)

CPUって本当に大変ですよね。これらを考えた人間も偉いですが。
さて、最初に戻ります。クロック間隔を短くすれば(=クロックを上げれば)、より多くの足し算の結果が得られます。しかしよく考えて下さい。どんなにがんばっても人の横幅を0にすることはできません。踏み台10キロメートルの横幅を5キロにすることはできましたが、10メートルにすることは物理的に不可能なのです。
音は端まで伝わらないといけないという原則があるので、クロックの間隔を短くするのにも必ず限界があります。…はい、そういうことなんです。だからCPU 10GHzって無茶なんです。なんとなく分かりました?

ちなみに、CPU回路の規模を上げるとどうしても踏み台の長さは長くなります。5キロメートルの横幅が倍の10キロメートルになりそうだ、という時にある人は考えました。だったら5キロメートルの踏み台を2つ並べれば、横幅の5キロメートルは変わらず10キロメートル相当の性能がでないか?と。
実はこれが今のマルチコアCPUの考え方なんですよね。CPU 10GHzよりこっちの方が実現しやすいため、今の世の中はそういう動きになっています。

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