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オンラインネットゲームのインフレ回避 その1 (2010/05/07) [ヴァルキリーの辞書]

オンラインネットゲーム(MMO)におけるインフレは、非常に頭の痛い問題です。インフレにより新規参入者への敷居を高くしてしまうだけでなく、時としてゲーム全体のバランスを崩してしまったりします。

ここで簡単にインフレとは何か、またインフレが起こってしまう原理を簡単に説明しておきます。インフレとはお金の価値がなくなることであり、相対的に物価が上がってしまう現象のことを指します。物価が上がるとは、ユーザ間で取引される非売品物品(価格に相場があるもの)の物価が上がることを指しています。
このような現象が起こる原因として、貨幣の供給と消費のバランスが取られていないことが挙げられます。もっと具体的にな例で言うと、回復アイテムや武具を購入するのに必要なお金(必要経費)に対し、敵がドロップしたアイテム等を売り捌いて得られるお金の方が多い状態であるということです。このような状態が続いた場合、“皆が多額のお金を持っている状態”になりますから、相対的に非売品物品の価格が上昇するという現象が発生します。

インフレを抑える方法、それは現実世界における経済と同様の手法を取るしかありません。とは言っても、ゲームの中の世界ですから取ることのできる手法はある程度限定されるでしょう。面白そうなので、私なりにいくつかの手法を考えてみました。

■税金
基本的に市場に回っている通貨量を減らせばいいのですから、現実世界と同様、全員に対して税金を掛けるのはいかがでしょうか。ただ、そもそもお金を持っていない初級~中級プレーヤーに課税してもあまり意味がありませんから、課税率を低くするとか免税するといった措置を執るのが適切でしょう。
現実世界でもそうですが、必ず抜け道を探すプレーヤーがいます。抜け道を完全になくすことは難しいかもしれませんが、“何に対して課税するか”を考えることによって、ある程度抜け道を塞ぐことは可能です。

まず単純に総資金量に対して課税する案については、資金を複数のアカウントに分散して持つプレーヤーが出ることでしょう。また、高額なアイテムを購入し、見かけ上の資金量を減らそうとするプレーヤーが出るはずです。
となれば、総資金量ではなく総資産に対して課税するのが適当だと思われます。一般に高レベルプレーヤーほど、高価なアイテムやレアなアイテムを所有すると思いますから、効率的に課税することができると思います。非売品アイテムの資産評価額は運営側のさじ加減となるため、性能見合いで超高額な資産価値を設定するなど、いろいろ面白いかもしれません。

オンラインネットゲームは、当然ですがプレーヤーに現実世界のリアルマネー(円)を支払わせることで運営が成り立っています。上記のように税金を徴収する方式の場合には、税金の支払いを一部免除される権利を販売するなど、いかがでしょうか。ただし、一部の高額課金プレーヤーだけが優遇されるようなゲームバランスでは、それも長続きしないゲームとなってしまうでしょう。(このゲームは“課金しないとやっていけないゲーム”だと認識されてしまうと、全体的なユーザ数が減ってしまうためです)

■税金(応用編)
前述の税金システムを応用すると、オンラインネットゲームで問題になっているその他の問題に対処することもできます。

例えばゲームの世界で持ち家を所有することができたり、個人商店を開くことができる場合、必ず特定の町やエリアといった偏りが生じるものです。この場合、場所に対して課税を行い、人気のある場所の課税率を高くすることにより、自然と分散化を図ることができるようになります。

個人倉庫に多量のアイテムが眠ってしまう(収納されたままになる)問題については、眠らせている時間に応じて課税したり、あるいは人に貸し出すことによって税金の一部を免除するとった措置を執れば、世の中に物品が出回るようになると思います。

高度な調整力を要するとは思いますが、前述の非売品アイテムの資産評価額を変動性にしてみるとより面白いのではないかと思います。
結局のところ、非売品アイテムは課税金額を含めて“使える物”、“使えない物”に二分されてしまうでしょうから、それを良いようにミックスさせる意味で資産評価額を変動させるのです。
そうすると“使える物”はいずれ“使えない物”になってしまう可能性もありますので、自然とプレーヤーは様々なアイテムを手にするようになります。また、職業における装備品に差異を付け、絶対的な強さはないがコストパフォーマンスの良い職業といった形で不人気職にスポットライトを当てることができるようになるのではないでしょうか。


その2へ続く。

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